2008年10月08日

『わが教え子、ヒトラー』

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1944年12月25日。敗色濃厚なナチス・ドイツでは、連合国軍による連日の空爆によって市街は廃墟と化していた。
ナチス切ってのアイディアマン、宣伝大臣ゲッペルス(ジルベスター・グロート)は、ある名案を思い付く。
それは、百万人の観衆の前でヒトラー総統(ヘルゲ・シュナイダー)が演説を行い、それを十二台のカメラで撮影しプロパガンダ映画に仕立てて、国民の戦意を高揚させ、戦費をも集めようというものだった。
しかし、それには大きな問題が立ちはだかっていた。
ヒトラーが心身を病んでしまい、とても演説ができる状態ではなかったのだ。
そこでゲッペルスは、かつてヒトラーに演説の指導をしたこともある、世界的なユダヤ人俳優アドルフ・グリュンバウム教授(ウルリッヒ・ミューエ)を呼び寄せ、新年までの五日間で総統の威厳を復活させようと目論んだ。
収容所から移送されてきたグリュンバウムは、ゲッペルスの依頼に難色を示すが、収容所の家族を呼び寄せることを条件に引き受けることにする。
初めは機会を狙ってヒトラーを暗殺しようと考えていたグリュンバウムだが、その口から悲惨な幼少期が語られるのを聞く内に、決意が鈍ってしまう。
グリュンバウムの長男アダムは、そんな父を意気地無しとなじるのだった。

やがて運命の演説の日がやってきて――

***


ナチス・ドイツ、ユダヤ人とこの単語だけで、暗く重厚な映画であろうと想像してしまう。
が、これはコメディーである。
ナチス内部のバタバタを、あくまで俗っぽく、コケにしようと言う趣向。
その割には、爆笑できるほどのネタは入ってないなぁ、と思った。
「ハイル、ヒトラー」の連呼のシーンでは、ちょっとクスッとしたけども。
ユダヤ人監督による演出の意図は分かるような気もするが、いかんせん全体的に深みがない。
わざとなんだろうけど、このノリにはちょっとついていけない感じがした。
ドイツで公開された際には、不謹慎であるとして、かなりの批判も浴びたとのこと、むべなるかな。

ヒトラーの特殊メイクが、いかにも乗っけてますと言う感じで、非常に不自然なのも気になった。
近年、ヒトラーを演じたなかで名高いのは、やはり『ヒトラー〜最期の12日間〜』のブルーノ・ガンツであろうが、彼ほど似せられる俳優もそうそうは居ないだろう。
だったらいっそのこと、全然似てなくても気合いで押し切ってしまえば良かったのでは。
だってこれ、コメディなんでしょ?

もともと、ウルリッヒ・ミューエ見たさに観に行ったのだが、遺された作品がこれでは名優の名に傷が付くのでは・・・と心配になってしまった。
御存命であれば、いくらでも挽回のチャンスはあったろうに。
つくづく惜しい俳優を亡くしたものだ。

→公式サイト
タグ:映画 洋画
posted by ささみ at 23:14| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画(わ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月13日

『ワールド・トレード・センター』

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2001年9月11日。世界貿易センターに旅客機激突の報を受け、救助に向かった港湾局警察官ジョン・マクローリンは、ウィル・ヒメノら三名の部下と共にビルに入った。
突如倒壊したビルの瓦礫の下敷きとなり、生き埋めになったマクローリンとヒメノ。
地下六メートルの暗黒の空間で、一条の光だけを頼りに救出を待つ、永遠とも思える長い時間が始まった――

***


観終わった後、プシューッと空気が抜けてしまうような感じに襲われた。
身動きの取れないマクローリンとヒメノが、お互いに会話を交わすことでどうにか命を繋ぐ地下と、消息の途絶えた彼らの無事を祈る家族や、危険を顧みず救助にあたる人々の地上での様子が、静と動のコントラストも鮮やかに描き出される。
殆ど不動の状態という難しい条件下で、ニコラス・ケイジ(マクローリン役)とマイケル・ペーニャ(ヒメノ役)は秀逸な演技を見せた。
救助にあたった予備役の海兵隊員のやや不気味な雰囲気は、その後のイラク戦争の不吉な影を暗示しているように思えた。
作中で使用されているブッシュ大統領の声明(実際のもの)が、フィクションの中にあってなおさら芝居じみて見えたのが印象的。
イエス様が、水差しとか杯じゃなく、ペットボトルに水を入れて持ってきてた、てのがアメリカ的で、ちょっとシュールだったなぁ。

オリバー・ストーン監督だからこそ撮れたというべきか、かの巨匠を以てしてもこうとしか描きようがなかったというべきか・・・評価が分かれるだろう。
しかし、今作が『ユナイテッド93』と共に、今後の9.11関連作品の指標となるであろうことは想像に難くない。

タグ:映画 洋画
posted by ささみ at 19:43| Comment(0) | TrackBack(2) | 映画(わ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする